営業担当者向け SFAツールのUXリサーチ・UIデザイン・デザインシステム

営業担当者がオンライン商談で使用する SFA(Sales Force Automation)ツールのリニューアルプロジェクトに、UX/UIデザイナーとして参加しました。

このプロジェクトの課題のひとつは、営業担当者とその商談相手(クライアント)の双方をターゲットとするため、より幅広いユーザーにとって使いやすい体験を提供することでした。クライアント層には高齢者も含まれており、アクセシビリティの向上が必要となりました。

競合調査とユーザーリサーチを積極的に行い、全体像の理解を深めた上で、リサーチで得られた示唆をもとにブランドコンセプトを策定し、一貫したブランドイメージを持つプロダクトを目指しました。さらに、WCAG ガイドラインに準拠したアクセシビリティ重視のインターフェースとデザインシステムを構築し、タイポグラフィの検証や、認知機能に関するワークショップも実施しました。

役割
UX/UI designer
期間
3ヶ月
チーム
シニアデザイナー、プロダクトオーナー
内容
UXリサーチ、UIデザイン、デザインシステム

bellface は、営業担当者がオンライン商談で使用するSFAツールです。ビデオ通話を中核機能として、提案から契約締結までをオンラインで完結できる仕組みを提供しています。特に不動産業界での利用を想定し、複雑な契約プロセスをオンライン上でスムーズに進められる点が強みです。

競合分析 ─ ポジショニングマップ

オンライン商談ツールの中核機能は ビデオ通話 です。よく使われるツールを洗い出し、機能や特徴をまとめてポジショニングマップを作成しました。

その結果、自社プロダクトは他社と比べて多機能でありながら高価格帯に位置すること、そして同様のポジションで競合する複数のブランドが市場に存在することが見えてきました。

会社の戦略として、競合との差別化のために 不動産業界のクライアント獲得に注力する方針となりました。不動産の商談には契約書まわりの法的なルールが多く、オンラインでの契約締結には難しさが伴います。そこで、自社の戦略は、提案から契約までをエンドツーエンドでオンライン化できる仕組みを構築することで、競合他社との差別化を図ることでした。

自社分析

自社では、ミッションとバリューに沿った複数のプロダクト開発を進めており、本プロジェクトもその一つです。「優れたセールスプラットフォームを創る」というバリューに沿い、営業担当者がオンライン商談中に頼れる存在となるプロダクトをつくることが重要なテーマでした。

ユーザーリサーチ

ビジネスサイドが想定していた多様なターゲット層を、3つのペルソナに整理しました。

  • テクニカルサポート
  • 不動産業界の営業担当
  • 営業マネージャー

ユーザーインタビューをもとに、それぞれのグループにおけるインサイトとペインポイントを分析しました。

ⅰ. 不動産業界の営業担当

不動産の商談には、契約プロセスにおける規制や複雑な手続きが多く存在します。さらに、オンライン環境ではクライアントとの信頼関係の構築がより難しくなります。加えて、不動産業界のクライアントには高齢の方が多く、プロダクトの使い方についてより丁寧な説明が必要となるケースもあります。
これらの課題に対して、カスタマーサポート機能やドキュメント共有機能を通じてクライアントとの関係性構築を支援する方向性で検討を進めました。クライアントが安心して、自信を持ってプロダクトを利用できる状態を目指しました。

ⅱ. テクニカルサポート

テクニカルサポートは、リモートコントロールや画面共有といった機能を活用しながら、顧客の課題解決を主に担っています。これらの機能はやや複雑で、顧客に説明することが難しい場面もあります。また、問い合わせ件数が多いため、スケジュール調整も課題のひとつでした。

ⅲ. 営業マネージャー

マネージャーの業務には、自身の商談対応に加えて、ジュニアメンバーのメンタリングが大きな比重を占めます。商談記録機能を活用することで、業務と責任を効率的に管理できる状態を目指しました。

ムードボード提案

3つのムードボードを提案として作成しました。

  • A - 専門性と信頼感のある印象
  • B - テクノロジーやITを感じさせる雰囲気
  • C - より人間味のある、爽やかな印象

デザイン提案

最終的に C案 を採用しました。やや擬人化された印象を持たせ、頼れる存在としての雰囲気を伝えたいという意図がありました。業界のスタンダードとなることを目指すことで、ミッションの実現により近づけると考えたためです。

参考として、日本国内の他業界における著名なスタンダードブランドの広告やデザインを分析しました。また、競合他社のいくつかが A案に近い印象のブランドを採用していたことも、判断の一因となりました。

デザインシステム

デザインシステムを構築する上で、以下の点に特に配慮しました。

カラーコントラストWCAG のコントラスト比要件を満たすカラーを慎重に選定。

アイコンより幅広い層にとって理解しやすいアイコンの設計を重視。

レイアウトとタイポグラフィ直感的に把握しやすいレイアウトと、可読性が高く適切な文字間隔を持つタイポグラフィを選定。

高齢者向けインターフェースへの理解認知や知覚の特性についてのワークショップを実施し、特に高齢者のニーズに応えられるUI設計についての知識を深めました。